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近年、急速にその市場規模を拡大しているポーカー業界において、コンプライアンス(法令遵守)の重要性がかつてないほど高まっています。特に、ポイントサービス「ウェブコイン」を管理・運営するポーカーギルドは、その利用規模の拡大と多様化する利用実態に対応するため、抜本的なコンプライアンス強化策とロードマップを発表しました。本記事では、このポーカーギルドの取り組みが業界全体にどのような影響を与え、健全な発展に貢献していくのかを詳しく掘り下げていきます。
1. 「ウェブコイン」とは? その法的立ち位置と重要性
まず、ポーカーギルドが管理する「ウェブコイン」とはどのようなサービスなのでしょうか? ウェブコインは、提携ポーカー店舗で利用可能な有償性の決済ポイントです 。重要な点として、このポイントは利用者から金銭等の対価を受け取って発行されているものではないため、資金決済法上の「前払式支払手段」には該当しません 。
この法的立ち位置は、資金決済法という複雑な法律に抵触することなくサービスを運用する上で極めて重要です。しかし、利用実態の変化に伴い、より一層のコンプライアンス対応が必要であるとポーカーギルドは判断しました 。この認識に基づき、複数の顧問弁護士の指導のもと、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)への抵触リスク、プレイヤーとの選手契約の適正化、決済ポイントの設計見直しといった多岐にわたる懸念事項の抜本的な見直しが実施されたのです 。
2. コンプライアンス強化の柱:風営法遵守への徹底的な取り組み
ポーカーギルドのコンプライアンス強化において、最も重要な柱の一つが「風営法」への徹底した遵守です。これは、ポーカー事業者が健全に運営を行う上で不可欠な要素となります。
2.1. ポーカー店からの賞品提供の禁止と選手契約の一元化
これまで、一部のポーカー店舗では、トーナメントの入賞者に対して賞品を提供しているケースが見られました。しかし、これが風営法における「遊技の結果に応じた賞品の提供」に該当する可能性があり、法的なリスクを伴うものでした。
今回のロードマップでは、このリスクを排除するため、ポーカー店からの賞品提供を全面的に禁止します 。その代わりとして、入賞者へのウェブコイン付与はポーカーギルド社が一元的に管理する形に変更されます 。
具体的には、これまで各ポーカー店舗ごとに行われていたプレイヤーとの選手契約を、今後はポーカーギルド社がオンラインで一元的に管理・運用します 。ポーカー店は競技結果をポーカーギルド社に報告し、選手契約が完了しているプレイヤーに限り、ポーカーギルド社がウェブコインを付与します 。これにより、ポーカー店舗が直接ウェブコインを付与することはできなくなります 。この変更は**フェーズ1(2025年6月5日午前1時)**に実施済みです 。
2.2. 広告料の定額前払制の導入と透明性の確保
もう一つの重要な変更点が、ポーカー店舗からポーカーギルド社への「広告料の定額前払制」の導入です 。これは**フェーズ3(2025年9月下旬)**に導入予定です 。
この制度の目的は、プレイヤーの参加費が直接的にプレイヤーに還元されていると誤解されることを防ぎ、料金体系の透明性を高めることにあります 。今後、ポーカーギルド社に対する広告料を含め、広告料とウェブコインの付与額が関係性を持たない広告料体系が整備されます 。ポーカーウェブの使用料はこれまで通りブラジルの開発会社へ、ポーカーギルドのウェブサイト広告料は毎月の定額料金として前払いとなります 。
2.3. 遊技チップの取り扱い見直しと「認定リング」の導入
風営法遵守の観点から、遊技チップの取り扱いも大きく見直されます。特に、遊技チップを店外に持ち出すことを防止するための措置が講じられます 。
**フェーズ2(2025年7月下旬)**には、「遊技チップ=ウェブコイン」とする設定が禁止されます 。リングゲームにおいて、遊技チップと料金を等価に設定することは禁止され、遊技チップの店外持ち出しに該当しない料金システムへと改善されます 。また、「ウェブコインリング」といった表記の使用も禁止されます 。
さらに、**フェーズ3(2025年9月下旬)**には、「認定リング」制度が導入されます 。これは、ポーカーギルド社がポーカー店のリングゲームを認定し、各グレードごとの遊技チップの成績に応じて、あらかじめ定められた割合に基づきプレイヤーにウェブコインを付与するというものです 。ここでの重要なポイントは、遊技チップとウェブコインが等価ではないことです 。
2.4. 「認定トーナメント」の検討:未来を見据えた業界標準の確立
将来的な課題として、ポーカーギルド社は「認定トーナメント」制度の導入を検討しています 。これは、実態としてポーカー店がプライズを提供しているとみなされないよう、ポーカー店がプライズを決定・告知しない仕組みを整備するものです 。
ポーカーギルド社がポーカー店のトーナメントを「認定トーナメント」として認定し、各認定グレードに応じてウェブコインの付与割合をあらかじめ定める制度が検討されています 。これにより、プレイヤーにはその認定グレードに基づいてウェブコインが付与される仕組みとなります 。この制度については、顧問弁護士および業界団体との協議のもと、導入の可能性が慎重に検討されています 。
3. トラブル防止と健全な運用への多角的な取り組み
コンプライアンス強化は、法的リスクの回避だけでなく、プレイヤーや事業者間のトラブルを未然に防ぎ、業界全体の健全性を高める上でも不可欠です。
3.1. GameIDの本人確認(eKYC)導入による安全性向上
プレイヤー間のトラブルや不正行為を防止するため、**フェーズ2(2025年7月下旬)**には、会員アプリGameIDに登録された情報と身分証情報を照合する「本人確認(eKYC)」システムが導入されます 。
これにより、年齢(未成年)の区別、選手契約履行内容との照合、国籍の区別などが可能となり、万が一のトラブルに備えることができます 。対応する身分証明書は、パスポート/ビザ、運転免許証(日本)、マイナンバーカード(日本)などが挙げられています 。また、ウェブコインをプレイヤー間でトランスファーする際は、双方で本人確認が完了している必要があります 。
3.2. 高額サービスの自主規制と広告表示の適正化
ポーカー業界においては、高額な料金設定や過剰な広告表示が問題視されることがあります。ポーカーギルドは、これらの問題にも積極的に対応します。
- 高額な後払いの禁止(フェーズ0: 実施済み): 10万円を超える後払いは、一度精算することが義務付けられます 。
- ポーカー店での高額なサービス提供の自主規制(フェーズ1: 2025年6月5日午前1時): エントリー費のほかアドオンなどを含めて10万円を超える高額なリングゲームおよびトーナメントの提供が禁止されます 。
- 広告における表示内容の規制(フェーズ0: 実施済み): レート、レーキ、還元率等の表示に関して、適切な規制が設けられます 。

4. 国内外ポーカー大会への補助申請:プレイヤー支援の拡充
コンプライアンス強化と並行して、ポーカーギルドはプレイヤーへの支援体制も拡充します。ウェブコインの新たな活用方法として、国内外のポーカー大会への補助申請が可能となります。これは**フェーズ1(2025年6月5日午前1時)**に導入済みです 。
4.1. 国内大会への補助申請
ポーカーギルド社が定めた対象となる国内大会において、以下の範囲でウェブコインによる補助を受けることができます 。
- 宿泊補助: 一律20,000円/泊
- 渡航補助: 一律30,000円/大会
- 上限額: 月額1,000,000円
なお、トーナメント費用はウェブコインでの参加が可能なため、補助対象とはなりません 。
4.2. 海外大会への補助申請
より大規模な支援として、海外大会への補助申請も可能となります 。
- 宿泊補助: 一律50,000円/泊
- 渡航補助: 上限300,000円/大会
- トーナメント補助:
- EPT/European Poker Tour 2025, WSOP/World Series of Poker, Triton Poker Series: 事前500万円まで、事後1,000万円まで(事前を含む)
- その他の海外大会: 事前300万円まで、事後1,000万円まで(事前を含む)
補助申請は、補助申請フォームへの入力後、公式LINEへ連絡することで行われます 。

5. ロードマップと今後の展望:健全な業界発展に向けて
ポーカーギルドが発表したロードマップは、2025年末までの段階的な実施を予定しており、多くの項目が既に実施済みまたは間もなく実施されるフェーズにあります 。
- フェーズ0(実施済み): ウェブコインの販売禁止、ポーカー店によるウェブコインの買取禁止、高額な後払いの禁止、広告における表示内容の規制、選手契約/ポーカー店での利用 。
- フェーズ1(2025年6月5日午前1時): 選手契約のポーカーギルド社による一元化、ウェブコインのポーカーギルドからの付与、ポーカー店での高額なサービス提供の自主規制、国内外大会への補助申請 。
- フェーズ2(2025年7月下旬): 遊技チップとウェブコインの等価設定禁止、本人確認(eKYC)の導入 。
- フェーズ3(2025年9月下旬): 広告料の定額前払制の導入、認定リング制度の導入 。
- フェーズ4(2025年12月下旬) 。
- 将来の課題: 認定トーナメントの導入検討 。
この包括的な取り組みは、ポーカー業界が抱える潜在的な法的リスクを低減し、より透明性の高い、健全な市場環境を構築することを目的としています。事業者とプレイヤー双方に一時的な不便が生じる可能性もありますが、長期的な視点で見れば、業界全体の信頼性向上と持続的な成長に貢献するものです 。
ポーカーギルドの取り組みは、単なる法令遵守にとどまらず、プレイヤー支援の拡充や新たな収益モデルの構築にも繋がる可能性を秘めています。今後、このロードマップが着実に実行され、ポーカー業界が社会からより一層理解され、健全なエンターテイメントとして発展していくことが期待されます。
公式資料
https://drive.google.com/file/d/1rVuR0oeEnt7Wt-qhyG4iYEZZ8PGlSt-U/view