7月26日の「土用の丑の日」を控え、全国でウナギ商戦が活発化している。スーパーではシラスウナギの豊漁を背景に値下げの動きが見られる一方、専門店ではコメや人件費の高騰が重くのしかかり、価格据え置きを余儀なくされる苦境が浮き彫りとなっている。
この記事のポイント
スーパーではシラスウナギの豊漁により、卸売価格が昨年比で27%下落し、店頭価格の引き下げが実現している。
専門店では仕入れ値が5%程度下がったものの、コメ代や人件費の上昇分を吸収できず、価格を据え置かざるを得ない状況にある。
消費者の節約志向やテイクアウト需要の高まりに対し、各店舗はサイズ展開の拡充やペアリング提案など、多様な販売戦略で対応している。
スーパーにおける価格引き下げの背景
福井市のイオン「そよら福井店」をはじめ、全国のスーパーでは土用の丑の日に向けた準備が本格化している。今回の値下げの主な要因は、養殖用稚魚であるシラスウナギの豊漁にある。供給量が増加したことで、6月の平均卸売価格は前年比で27%下落した。この市場環境の変化を受け、イオンでは鹿児島県産蒲焼きの価格を昨年より500円引き下げて販売するほか、特大サイズ以上のウナギを過去最多の12万尾用意するなど、積極的な販売体制を整えている。
専門店が直面するコスト増の壁
一方で、福井市の「昼だけうなぎ屋安田店」のような専門店では、仕入れ価格が昨年比で5%ほど低下したものの、販売価格の値下げには至っていない。その最大の要因は、ウナギ以外の経費増大である。特にコメの価格が10キロあたり3000円ほど上昇したことに加え、最低賃金の引き上げに伴う人件費の3%増が経営を圧迫している。仕入れ値の低下分は、これらのコスト上昇分によって相殺されてしまう構造となっている。
テイクアウト需要と価格への還元
専門店では、気温の上昇に伴い、涼しい環境で食事を楽しみたいという顧客のテイクアウト需要が高まっている。店側はウナギの仕入れ値が下がった分を価格に還元したい意向を持っているが、テイクアウト用の容器代などの諸経費も高止まりしている。結果として、利益を確保しつつ営業を継続するために、やむを得ず価格を据え置く判断を下している。スーパーの安売りとは対照的に、専門店は複合的なコスト高に阻まれている。
多様化する土用の丑の日の楽しみ方
土用の丑の日に向けた動きは価格競争だけにとどまらない。自宅でウナギを楽しむためのペアリング体験として、純米吟醸酒「うなぎの蒲焼 with 山田錦」が提案されるなど、食文化としての楽しみ方も広がっている。また、京王百貨店新宿店では名店を集めたグルメフェアが開催され、神戸市内でも低価格なうな丼を提供する店舗が紹介されるなど、消費者が自身の予算や好みに合わせてウナギを楽しむための選択肢が各地で提供されている。