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広島東洋カープの粘り強い打撃戦術が、一部のファンや解説者から「ゴキブリ野球」と揶揄されています。この表現はネガティブなニュアンスを含みますが、実際には非常に戦術的で試合を動かす重要な要素となっています。
「ゴキブリ野球」の意味とは?
「ゴキブリ野球」とは、相手投手に対してしつこく粘るスタイルを揶揄した表現です。特徴としては以下のようなプレーが目立ちます:
- ファウルで粘ることで球数を稼ぐ
- 四球を選んで出塁率を高める
- 犠牲フライや送りバントなどで確実に得点圏へランナーを進める
この戦術は、投手のスタミナや精神面に大きく影響を与え、ゲームの流れを変える力を持っています。特に、相手先発投手に100球以上を短いイニングで投げさせることによって、早期降板を誘発し、相手チームの継投策を崩すといった副次効果も期待されます。
試合への影響:代表的な試合例
✅ 2025年4月18日 vs 阪神タイガース(甲子園)
- 2回表に54球を投げさせる猛攻
広島打線が阪神・村上投手に対して、1イニングで54球を投げさせるという驚異の粘りを見せました。ファウルと四球を重ね、安打数が少ないながらも得点圏にランナーを進め続けたことが特徴です。 - 結果的に5失点を奪い、試合の流れを完全に掌握
二死からの四球や粘り打ちで出塁し、犠牲フライやタイムリーヒットで得点を重ねました。村上投手は序盤で大量失点を喫し、試合中盤には降板を余儀なくされました。 - SNSでは「ゴキブリ野球」がトレンド入り
この戦術に対してSNSでは賛否が分かれ、「しつこい」「見ていて不快」といった否定的な意見がある一方、「あれだけ粘られたら投手は嫌だろう」とその効果を認める声も多数ありました。
局面別に見る戦術の影響と分析
試合局面 | ゴキブリ戦術の効果 |
---|---|
二死からの粘り | 甘い球を引き出し、得点につながる場面が増加。相手の集中力を削る。 |
先発投手の消耗 | 球数を稼ぐことで早期降板を促し、中継ぎに負担をかける。 |
中継ぎ起用の誘発 | 相手チームの投手継投を早め、後続の継投リズムを乱す。 |
投手の心理的負担 | 四球やファウルが続くことで、イライラや焦りを誘発し制球難に陥るケースも。 |
守備のリズム破壊 | 長時間守備を強いられ、守備側の集中力低下とエラーの誘発に繋がる。 |

「ゴキブリ野球」はなぜ嫌がられるのか?
広島カープの戦術は、見た目には「派手さ」がありません。ホームランや長打ではなく、ファウルで粘り四球を選び、1点を積み重ねるスタイルは、打撃戦を好むファンからすると「退屈」と感じるかもしれません。
しかし、それは戦術の精度と効果が高いことの証です。阪神のOBである下柳剛氏も、「あそこまで前に打つ気がないと、相手投手は嫌になる」と語っており、相手チームにとって脅威であることは明らかです。
DeNA・バウアー投手もYouTube上で「Japanese Cockroach Baseball(日本のゴキブリ野球)」と揶揄しましたが、同時に「追い込まれても粘る技術は尊敬に値する」とも述べています。このように、批判の裏にあるのは高い評価でもあります。
戦術の効果:数値で見るカープの「粘り」
- 1イニングでの球数:多いときで40〜60球を稼ぐ
- 四球数の多さ:1試合あたり平均4〜6個(リーグ平均より高い)
- ファウル数:1打席あたり平均3〜5球のファウルが見られる場面も
- 先発投手の降板タイミング:相手先発を5回未満で降板させるケースが複数
これらのデータからも、ただの偶然ではなく意図的に組み立てられた戦術であることがわかります。

|カープ「ゴキブリ野球」は勝利を導く“嫌われ戦術”だった
「ゴキブリ野球」という揶揄的な表現の裏には、非常に緻密で効果的な戦略が存在します。表面上は地味に見えるかもしれませんが、相手投手を消耗させ、守備の集中力を奪い、じわじわと試合を支配していくそのスタイルは、プロ野球における一つの完成された勝利戦術です。
嫌われるほどに効果を発揮し、批判されながらも結果を出し続ける。これこそが、2025年の広島カープが見せる「勝者のメンタリティ」と言えるでしょう。